所得税の計算方法について
所得税は個人の所得に対して国が課している税金のことで、1年間におけるすべての所得から所得控除を差し引いた残りを課税所得といい、この課税所得に税率を適用して納付すべき税額が決まります。
所得の種類
所得というのは平たくいえばサラリーマンとして会社で勤務して得られた給料や、自営業でみずから稼いだ収入のなかでのもうけの部分を指していますが、実はこの所得は性質によって10種類に分けられています。
具体的には利子所得・配当所得・不動産所得にはじまり、メジャーな種類である事業所得や給与所得、ほかにも退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得といったものに分けられます。
これらの種類によって税金の計算にあたって収入から差し引くことができる必要経費の範囲や、所得の計算方法などが違うことがありますので、所得税の計算方法を確認する前に、まずは所得の種類がどれに該当するのかを調べるのが先決といえるでしょう。
所得控除の種類
所得はそのままの金額に税率を掛けるのではなく、はじめに所得控除額を差し引いて課税所得金額を求めて、この課税所得金額に対して税率を掛けて税額を求めることになっています。
所得控除とは納税者の個人的な事情に応じて税の負担を軽くするためのしくみのことであり、こちらもさまざまな種類があります。
たとえば
- 災害やどろぼうの被害にあったときに所得から差し引くことができる雑損控除
- 年間にかかった医療費が多額であった場合に適用される医療費控除
- 国民健康保険料や国民年金保険料などの社会保障にかかる負担にあたる社会保険料控除
- 生命保険の掛金を支払ったときの生命保険料控除
- 同じく火災保険に付帯している地震保険に加入して掛金を支払ったときの地震保険料控除
- 自治体に対するふるさと納税やその他慈善団体などに寄付をしたときに適用される寄附金控除
- 配偶者がいる場合の配偶者特別控除
- 扶養している親族がある場合の扶養控除
などが典型的です。
ほかにもすべての人に適用される基礎控除とよばれるものもあり、これは納税者本人の合計所得金額に応じた違いがあります。
たとえば個人の合計所得金額が2400万円以下であれば一律に48万円ですが、逆に2500万円を超えるような人はゼロとなっています。
累進課税制度が採用されている
所得税の金額は、このような計算方法をもとにして割り出した課税所得金額に対して、所得税の税率を適用して計算します。
もっともこの税率というのは、所得が多くなるにしたがって段階的に高くなるしくみ、いわゆる累進課税制度が採用されていて、納税者の支払い能力に応じて公平な負担ができるように配慮されています。
具体的な税額をかんたんにチェックすることができるようにするため、国税庁では速算表とよばれる表を作成しており、税務署や市町村役場などで配布している手引き書や国税庁のホームページなどで公開されています。
これによれば課税所得が195万円以下の場合の税率は5パーセントです。
次の段階の195万円を超え330万円以下の場合には、税率は10パーセントとなりますが、控除額として97500円を差し引いた値が実際の納税すべき額となります。
最高の段階にあたる4000万円を超える場合には、税率は45パーセントとなり、控除額は479万6000円です。
たとえば課税所得金額が300万円の人であれば、速算表を使って300万円にそのまま税率10パーセントを掛けた30万円から97500円を控除した金額、すなわち202500円が税額となります。
まとめ
なお本来の税額の計算は、これらの段階ごとに税率と控除額をそれぞれ適用して最終的な税額を求めることになりますが、結果的には速算表を使った計算方法と一致するはずです。